きもの文化検定

小袖

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「小袖」はきものの歴史の中では、結構重要な存在!

なので、時代ごとに見ていきます。

 

「小袖」の呼び方は、大袖(束帯や狩衣など)や広袖(袿(ウチギ)など)に対して、袖が小さかったことに由来します。

 

男女ともに、下着だったものが上着化し、表着の形式が小袖に統一されました。

 

 

鎌倉時代の小袖

武士の台頭により、徐々に小袖が表着化

 

・武士

盤首(あげくび)衣装:公家の形式的
  ↓
垂領(たりくび)の直垂(ひたたれ)、素襖(すおう):行動的な衣服を公的なものに昇格。

 

・武家女性

留袖(袖口を小さく綴じたもの)で詰袖(袖丈を詰めたもの)の小袖を数枚重ね着+その上に外衣を羽織って略式礼装。

 

男女ともに、普段は外衣を着けずにいることが多くなる
  ↓
しだいに下衣であった小袖のみが表面に現れる
  ↓
小袖に外衣としての装飾が施されるようになる

 

室町時代の小袖

全ての階層で小袖が表着になる。

 

〈 婆娑羅(ばさら)〉

室町後期の下克上の時代、武士が吉祥文様を施した華やかな晴れ着の胴服や小袖を競って身に付けたこと。

 

更に、胴服や打掛を略する風潮が強くなり、男女ともに模様小袖が当たり前のものとして台頭する。

 

[きもの文化検定3級] 
 室町後期の下克上の時代、武士が吉祥文様を施した華やかな晴れ着の胴服や小袖を競って身に付けたことを何というか?

(1) 襲着

(2) 萬蔵

(3) 下克上

(4) 婆娑羅

 

◆解答 (4)婆娑羅

◆参照 公式教本1 80頁

 

メイ
婆娑羅には「遠慮なく、勝手に振る舞うこと」、「派手に見えを張ること」などの意味があるんだよ

のえぽん
小袖がだんだん派手になっていく時代なのね♪

 

安土桃山時代の小袖

下衣だった小袖があらゆる階級を通じて外衣化。

 

小袖の形:旧態の寸胴型で胴回りが広く、裾が短く、袖丈・袖幅も極めて短い形のまま。

外出時:小袖の上に、同じ形態の単衣を外衣代わりに被衣(かつぎ)と称して頭上に担ぐ。

 

肩裾模様

打掛の下から覗く首回りと肩や前裾部分に重きを置いた模様。

 

段替わり

全体を背縫いとそれに直交する直線で区切った形式。

区画の数で「四替り」「八替り」などと呼んだ。

 

 

 

[きもの文化検定3級] 
 小袖を外衣として着ることが広まった時代は?

(1) 奈良時代~平安時代

(2) 平安時代~鎌倉時代

(3) 戦国時代~織豊時代

(4) 江戸時代~明治時代

 

◆解答 (3) 戦国時代~織豊時代

◆解説

・戦国時代

 室町時代の1467年(応仁の乱)~1573年(織田信長が足利義明を追放)

 

・織豊時代(しょくほうじだい)

 安土桃山時代は、日本の歴史において、織田信長と豊臣秀吉が中央政権を握っていた時代。2人の名前を取って織豊時代ともいう。

 

 

江戸時代の小袖

・江戸時代初期

衣服の制に厳しい統制は無い。

男女とも小袖を着用するので、差別化のため女性の小袖意匠は優美華麗に変化。

 

慶長小袖(けいちょうこそで)

絞り染めによって地を、紅や黒紅、白に複雑に染め分け、山水花鳥など様々な文様を、刺繍や鹿の子絞り、摺箔などで表現。

地が見えなくなるなるほど密に装飾を施すものは、「地無し小袖」とも言われる。

 

寛文小袖(かんぶんこそで)

寛文年間(1661~1673)を中心に、武家・町人にかかわらず大流行。

余白を十分にとって、自己主張の強いモチーフを小袖全面に左右非対称に構成する意匠。

技法的には絞り染め、特に鹿の子絞りを多用し、刺繍を併用する。

寛文元年(1661)に東福門院関係の注文手控え帖として描かれた「雁金屋雛形帖」や「新撰御ひいなかた」に収蔵されている小袖模様の多くが、この意匠構成なので「寛文小袖」「寛文模様」と言われるようになった。

 

元禄小袖(げんろくこそで)

元禄期(1688~1704)を中心として隆盛した小袖様式。

技法は、鹿の子絞りと刺繍が主体。

意匠は、左右非対称で自己主張の強い寛文小袖の延長上だが、空間が少なくなり、文様の部分が拡大。
→高度経済成長を遂げた町人たちは、余白の美より華やかな文様を求めたから。

 

刺繍や鹿の子など豪奢な服が町人の間でも流行
 ↓
奢侈禁止令(しゃしきんしれい)
 例:金糸の使用、刺繍、総鹿子が禁止

 ↓
友禅染が台頭し始める。→友禅染め

 

 

・17世紀後半ごろ

幕府の体制が堅固なものになる。
  ↓
衣服の制も身分や職種に見合った厳格な体制が確立。

 

〈武家男子〉

・一般的な礼装:熨斗目(のしめ)小袖に肩衣(かたぎぬ)と袴の裃姿

・平常:無地や縞織の長着+羽織

 

〈武家女性〉

・礼装:染め模様の小袖+織りや刺繍の打掛姿

 

〈一般人〉

・模様のない木綿の縞柄などを用いる

 

〈遊里〉

・武家女性の礼装と同様に華やかな衣装が着用

 

年中行事や祭礼、社交の場もそれに見合った晴れ衣装が着用される。

武家婦女の奉仕服(城中などでの衣服)や儀礼の社交服が、一般人の儀礼服、社交服の模範とされる。

 

 

[きもの文化検定5・4級] 
 武家の男女が用いて表着化しちゃ小袖のなかでも、肩裾小袖と呼ばれるものは?

(1) 肩部と前裾に重きを置いて模様を施したもの

(2) 肩と裾には模様が施されていないもの

(3) 肩部と裾部の色が異なるもの

(4) 右身頃と左身頃で模様が異なるもの

 

◆解答 (1)

 

 

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