きもの文化検定

判じ物 ~現代のアイドルグッズ~

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江戸時代の最大の娯楽は芝居、歌舞伎。
そんななか、歌舞伎役者の人気はうなぎ登り、現在のアイドル以上だったでしょう。

江戸幕府が始まる頃(1603年)、出雲阿国(いずものおくに)という女性を中心としたグループが
「かぶき踊り」を京都で興行したことが「歌舞伎」の始まりといわれています。

屋外で庶民を対象にしていたことや、当時としてはポップな踊りを披露していたことが、様々な資料から推測されます。
現代に例えるとAKB48のようなアイドルグループに近いものだったのではないかと考えられています。

まもなく江戸でも披露され、両方が競い合うように歌舞伎小屋を建てたようです。

歌舞伎の名場面や役者の浮世絵は大人気。
江戸土産にも軽くて華やかなので、飛ぶように売れたようです。

そして、元禄時代以降、歌舞伎役者が着ていた刺激的な文様は、当時の流行の最先端となり、
多くのはやり文様は歌舞伎から生まれました。

メイ
着物だけでなく、たばこ入れや手拭いなどの小物を持つことで、憧れの役者との距離が縮まるんだよ。

のえぽん
現代のアイドルグッズね♪

江戸時代の歌舞伎役者はファッションリーダーでもあったわけで、
役者同士も人気を高めようと
着物の柄、たばこ入れなどの持ち物、
そして、日頃の仕種までを常に気を配っていたようです。

 

江戸時代には、いわゆるクイズみたいな看板や文字表現が結構ありました。
そういったものを総じて、「判じ物(はんじもの)」と呼ばれています。
江戸時代の識字率の低さもあって、絵や形で表現したのがベースにあるようです。

 

中村格子(中・六・ら)

6本筋の格子のなかに「中」と「ら」を入れて「中六ら(中村)」と読ませる。

中村勘三郎好みの浴衣文様。

 

市村格子(一・六・ら)

横1本と縦6本の格子の間に「ら」の文字を入れ、「一六ら(いちむら→市村)」と読ませる。

江戸時代の歌舞伎俳優、十二代目・市村羽左衛門(うざえもん)が好んで使った。

格子の筋が部分的に欠けている「破れ市村格子」という変種もある。

 

菊五郎格子(キ・九・五・呂)

和柄-役者文様@夏貸文庫日本語9

立て4本、横5本の格子縞の中に「キ」と「呂」を置いて「キ九五呂(菊五郎)」と読ませる。

三代目尾上菊五郎が「義経千本桜」で着てから人気になった柄。

 

芝翫縞(しかんじま)

4本筋の間に鐶(わ)繋ぎを入れて「四鐶(芝翫)」と読ませる。

ちなみに「鐶」は箪笥の取っ手などの金具。

 

かまわぬ(鎌・輪〇・ぬ)

「かまわぬ」模様は、「水火も厭わず身を捨てて弱き者を助ける」「怖いものなんてないぞ」「どんなこともお構い無しだ」という江戸っ子の心意気として、江戸前期に町奴の衣装として好まれた模様。

それを七代目市川団十郎が魚屋団七の浴衣に使ったところ、話題となり、再び江戸の町に大流行。

 

かまいます(鎌・ゐ・枡)

寿曽我対面(ことぶき そがのたいめん)で曽我五郎・市川團十郎の 「かまわぬ」に対して、市川男女蔵(おめぞう)が「かまいます」の柄を襦袢に作り、二人で暴れ肌脱ぎに なる振りが大評判になった。

 

よきこときく(斧・琴・菊)

「よきことを聞く」の縁起を担いだ模様。

三代目尾上菊五郎が従来の判じ物に着目し、「聞く」に自分の名前「菊」をあてている。

 

のえぽん
なんだか、オヤジギャグみたいね♪

メイ
昔の人の粋な言葉遊びは、その文化と共に残しておきたいね

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