この写真は、
「海松」です。
海の松と書いて、「みる」と読みます。
確かに松みたいですね♪
海藻です。
食べられます。
緑色は草木から簡単に抽出できそうですが、時間が経つと変色します。
なので、古来から
藍色系 + 黄色系 の染料を重ねました。
今回は「きもの文化検定公式教本2」より、「日本の伝統色」より緑系をまとめました。
緑系
・萌黄色(もえぎいろ):
平安時代から用いられた色名。
新緑の萌え出る草木の緑、冴えた黄緑。
・柳色:
柳の葉の3〜4月の萌え出るような色。
葉の表は黄色がかった緑。春の色。
・若竹色:
さわやかな緑色。
瑞々しい若竹の幹の色。
・常盤色(ときわいろ):
松や杉など一年中緑の常緑樹は、常盤木(ときわぎ)と呼ばれる。
やや茶を含んだ深緑色。
・木賊色(とくさいろ):
シダ植物の木賊の茎のような少し黒みを帯びた深緑色。
・海松色(みるいろ):
海の浅瀬の岩に生える海藻の海松(みる)に似た、茶色みを帯びた深緑色。
木賊色より黄みがかったやや暗い色。
祝儀に着用するおめでたい色でもある。
[きもの文化検定3級]
緑系の色名で模様にもなっている海の生物は?
(1) 海苔
(2) 海松
(3) 海月
(4) 珊瑚
解答 (2)
解説:海松色の名前は海藻の海松(みる)に因む
[きもの文化検定3級]
次の緑系色の中で一番濃い色は?
(1) 柳色
(2) 萌黄色
(3) 木賊色
(4) 若竹色
解答 (3)
[きもの文化検定3級]
次の色の中で系統が違うものは?
(1) 黄櫨染色
(2) 萌黄色
(3) 檜皮色
(4) 香色
解答 (2)
解説:萌黄色は緑系統、他は茶色系統。
おまけ ☆ 海松(みる) ☆
海松が出てくる昔話を紹介いたします。
今昔物語の30-11です。
摂津に検分に出た某「受領」(ずりょう:平安期の下級貴族―管理領地の現地責任を負う役)のお話。
若い彼女と古女房との二人を掛け持ちする彼は、出張で摂津へ。
海岸を進むと、海松(みる)が付いた珍しい蛤に目が留まります。
海松を「若い彼女」にプレゼントするため、
下男の童を使わせました。
ところが童は届け先を古女房に間違えてしまいます。
後日、男は「若い彼女」の所に行って
ここで大間違いに気づきます。
彼女は「蛤は焼いて喰えばうまいし、海松は酢ものにすればこれまたうまい・・・」と。
今すぐ取り返してくるように言いますので使いを再び出しました。
古女房の方も「どうせそんなことだろう」と思っているところに使いが来るので、「海松付きの蛤」を包む紙に和歌をしたためました。
その和歌が
「あまのつと おもはぬかたに ありければ
みるかひもなく かへしつるかな」
受け取った彼は情趣深いこの和歌を味わい、
若い彼女の食い意地の張った発言にいよいよ幻滅して、
元の女房の許に戻った、という話でした。
あまのつと 「海のおみやげ」 「天から授かった」
おもはぬかたに 「しらない干潟」 「思はぬ人」
みるかひ 「海松貝」 「見る甲斐」
このような歌が詠めるとはキレ者の奥さんという感じも覗えます。
「古女房」が「若い彼女」に勝つ!
っていうのが良いですよね。
林真理子さんが、ある雑誌で「年齢を重ねたら着物を着ると若い子には負けない」とおっしゃっておられました。
イイ女は、着物を着ましょう!!