「京の着倒れ大阪の食い倒れ」と言うように、都人は着物のためなら金に厭目をつけません。
それでいてお金がかかっていることを表に出さないのは、京都ならではの奥ゆかしさかもしれません。
西陣織の特色のひとつである豪奢さは、着物を愛してやまない都人が考案したと言っても過言ではないのではないでしょうか。
今回は、そんな西陣織について、「きもの文化検定公式教本2」より、きもの文化検定に出題されるところをまとめました。
目次
西陣織
・平安時代以前から、織物が本格的に行われていた。
・室町時代・・・応仁の乱
↓
平和になると京都の「西軍陣地」あたりへ職人が戻り、織物再開
↓
「西陣織」と呼ばれる
詳しくはコチラ→【織のりの特徴・西陣織・博多織・黄八丈】応仁の乱って知ってる?
[きもの文化検定3級]
西陣という呼称の歴史は500年余りですが、西陣の織物の起源とされる時代はいつ頃か?
(1) 平安時代以前
(2) 室町時代
(3) 安土・桃山時代
(4) 江戸時代
解答 (1)
解説:平安時代以前から織物が本格的に行われていた。
企画、製紋
図案
西陣織にふさわしい模様のデザインを考える。
紋意匠図(もんいしょうず)
・織物の設計図
・経糸と緯糸の組合せを考える。
・経糸で表す部分と緯糸で表す部分を方眼紙の升目ごとに塗り分ける。
[きもの文化検定3級]
方眼紙の升目が経糸と緯糸の交差の状態を表し、西陣織の設計図と呼ばれているものは?
(1) 綜絖図
(2) 紋織図
(3) 紋意匠図
(4) 文様図
解答 (3)
製紋
・紋意匠図に基づいて、機械に経糸の上げ下げの指示を出す紋紙を作る。
・現在は短冊状の紋紙の他、フロッピーディスクも使われている。
[きもの文化検定3級]
紋意匠図をもとに織物を織っていく工程で必要なものは?
(1) 下絵
(2) 紋紙
(3) 図案
(4) 型紙
解答 (2)
[きもの文化検定2級]
紋紙は織機に経糸の操作の指示を出すもので、現在は短冊状の紋紙の他、フロッピーディスクも使われている。制作するために紋紙やフロッピーディスクを必要とする染織品を3つ選べ。
【語群】
綴れ織、紋縮緬、しじら織、献上博多、コーマ、錦織、知花花織、羽二重
解答:紋縮緬、献上博多、錦織
原料準備
原糸(げんし)
国内外から上質の絹糸を仕入れ、撚りをかける。
糸染(いとそめ)
注文通りの色に染め上げる。
箔(はく)
・金箔、銀箔は、片面箔と両面箔がある。
・箔を糸状にして、緯の材料を作る。
和紙に漆(接着剤)を塗る
↓
漆の上に金箔をのせる
↓
裁断機で細かく糸状にカット
[きもの文化検定3級]
西陣織の帯に織り込まれている金箔、銀箔について誤っているものは?
(1) 金箔、銀箔は片面のみ。
(2) 和紙に金箔を接着するのに漆を用いる。
(3) 金箔、銀箔は、竹製のヘラで織り込まれる。
(4) 和紙以外にポリエステルフィルムに金属を蒸着させた箔もある。
解答 (1)
解説:→竹製のヘラ
機準備
整経(せいけい)
・織物に合わせて、経糸の本数、長さを整える。
・西陣織の袋帯の場合、1000~6000本以上の経糸を大きなドラムに巻き、さらに千切(ちきり)という胴に巻き取る。
[きもの文化検定3級]
西陣織の「整経」についての説明で正しいものは?
(1) 経糸の幅を整える。
(2) 経糸と緯糸の組合せを考える。
(3) 経糸を上げ下げする仕組みを整える。
(4) 織物に合わせて経糸の本数、長さを整える。
解答 (4)
綜絖(そうこう)
・経糸を上げ下げして、緯糸を通す空きを作る仕組みを整える。
・糸と同じ数の綜絖が必要。
[きもの文化検定3級]
織機で経糸を上げ下げする装置は?
(1) 筬(おさ)
(2) 杼(ひ)
(3) 綜絖(そうこう)
(4) 千切(ちきり)
解答 (3)
織り
ジャカード機
・錦織や唐織は、ジャカード機を使って織られる。
・ジャカード機は明治時代にフランスからきた。
・それまでは、空引機(そらびきばた)をいう織機を使っていた。
[きもの文化検定3級]
西陣の主な織物はジャカード機で織られているが、いつ頃どこから日本に伝わったか?
(1) 江戸時代・ポルトガル
(2) 江戸時代・ドイツ
(3) 明治時代・フランス
(4) 明治時代・イギリス
解答 (3)
[きもの文化検定3級]
西陣の紋織物に必要なジャカード機が導入されるまで使われていた装置は?
(1) 地機
(2) 空引機
(3) 台引機
(4) 綴れ機
解答 (2)
[きもの文化検定3級]
機織で使われるジャカード機は、何の目的に使われるか?
(1) 紋織をするため。
(2) 絣を作るため。
(3) 平織の生産効率を上げるため。
(4) 糸に負担を掛けないように織るため。
解答 (1)
[きもの文化検定3級]
西陣織の紋織装置のジャカード機についての説明で正しいものは?
(1) 綜絖装置とジャカード機の組合せで、経糸の制御本数が異なる。
(2) 織物の幅に応じてジャカード機の大きさも大きくなる。
(3) 西陣織の紋織物は必ずジャカード機を用いて織られている。
(4) ジャカード機の900口といった表示はジャカード機の通糸の長さを表している。
解答 (1)
解説:公式教本外
綴れ織(つづれおり)
・綴れ機という織機で織る。
・緯糸で模様を表現していく。
・独特の爪かきで模様を表す。
・把釣孔(はつりこう):柄と地の間にあく隙間
[きもの文化検定3級]
綴れ織の説明として不適切なものは?
(1) 繊細で絵画的な表現ができない。
(2) 経糸に沿って出来る色糸と色糸の堺を「把釣目」という。
(3) 織り手の爪の先を櫛状に削って糸をかき寄せる手法を使う。
(4) 綴れ織は緯糸だけが織物表面に見えるような仕上がりである。
解答 (1)
[きもの文化検定3級]
西陣織の工程の記述で誤っているものは?
(1) 「紋意匠図」は織物を織るための設計図である。
(2) 「綜絖」は経糸の上げ下げを行うための装置である。
(3) 「綴れ織」はジャカード機を使って織る紋織物である。
(4) 「整経」は大きなドラムに糸を巻き、更に千切という胴に経糸を巻き取る経糸の準備工程である。
解答 (3)
解説:綴れ機という専用の織機を使う。
[きもの文化検定3級]
西陣織における「杼」についての説明で正しいものは?
(1) 経糸の間に緯糸を通す。
(2) 織物の幅を整える。
(3) 緯糸を打ち込むために使う。
(4) 経糸の上げ下げを行う。
解答 (1)
おまけ ☆ 西陣織・ジャカード機 ☆
西陣織は、染色した糸を使って模様を織り出す先染めの紋織物です。
・綴織(つづれおり)
・錦織(にしきおり)
・緞子(どんす)
・朱珍(しゅちん)
・紹巴(しょうは)
・風通(ふうつう)
・綟り織(もじりおり)
・本しぼ織
・天鵞絨(ビロード)
・絣(かすり)
・紬(つむぎ)
の11種が,昭和51年に、国から伝統的工芸品に指定されました。
明治時代、西陣は危機を迎えました。
・東京遷都 → 高級織物の需要者層を大幅に失う
・生糸の輸出増加 → 国内生糸の価格も高騰
そこで,京都府による保護育成。
明治5年には
・佐倉常七 (さくらつねしち)
・井上伊兵衛 (いのうえいへえ)
・吉田忠七 (よしだちゅうしち)
をフランスのリヨンに留学させ,フランス式のジャカード機など数十種の織機装置を輸入した。
・・・というのが始まりみたいですね。
この留学に尽力したのが、日本でフランス語を教えていたレオン・デュリーさん。
京都・関西日仏学館内にデュリー氏の碑があるそうです。
いろんな人のおかげで、今の日本文化があるんですねぇ~。