刈安は日本の近畿・中部地方に自生するススキに似た草なんですね。
「刈安」って植物っぽくない名前だな、と思ったら、ススキと違って葉っぱにギザギザが無く、「刈り易い」ことから付けられたそうです。
黄色系の色名の中では最も古く、奈良時代「正倉院文書」にも登場しています。
色にも歴史があるんですね~♪
伊豆諸島の八丈島の黄八丈は、カリヤスと呼ばれる染料で染められていますが、本当は「小鮒草(こぶなぐさ)」という名前の植物なんだそうです。
葉っぱが魚のフナに似ているので、少しススキとは違うんですね。
いろんな場所で、黄色の染料を楽しんでいた人々がいたということ。
素敵ですね☆
というわけで、今回は「きもの文化検定公式教本2」から、きもの文化検定に出題される「黄色系」の色についてまとめています。
目次
黄系
[山吹色(やまぶきいろ)]
・山吹の花の色。
・桜が散り始める頃、赤みを帯びた黄色の花を咲かせる。
・平安時代から使われてきた代表的な伝統色名。
[刈安色(かりやすいろ)]
・ススキに似たイネ科の植物「刈安」で染めた、美しく澄んだ黄色。
・奈良時代の正倉院文書に登場するほど、黄色の色名の中では最も古い。
[鬱金色(うこんいろ)]
・ショウガ科の多年草「鬱金」で染めた色。
・地下の太い根茎が染料や香辛料になる。
・防虫、殺菌作用があるため、着物を包む風呂敷や産着に染められた。
[黄檗色(きはだいろ)]
・ミカン科の落葉高木、黄檗の樹皮の内側にある黄色のコルク層を煎じて染料にする。
・中国では紙を染めるのに用いられる。
→仏教の経典が黄檗で染められている。
[芥子色(からしいろ)]
・アブラナ科の越年草、芥子菜の種子を粉末状にして、練った状態のやや鈍い黄色。
・種子を練ったものは香辛料として使用される。
[朽葉色(くちばいろ)]
・朽ちてゆく葉の総称。
・銀杏色も朽葉色の一つ。
・平安朝の人々は、秋になり木々が葉を落とすさまを、青朽葉、黄朽葉、赤朽葉などの名前で呼び分けていた。
黄色ができるまで
・8月末、晴天続きで太陽光線が最も強烈である時期の終わりに収穫。
↓
・乾燥させた刈安(根以外すべて)を10~15cmに切り、真水に入れ、弱火で半時間煮る。
↓
・煮汁が黄金色になる。
・抽出液を漉し、お湯と混ぜて希釈する。
↓
・刈安を煮出した染液の中で、糸や布を染め、明礬(みょうばん)や灰汁で発色させる工程を繰り返す。
きもの文化検定の練習問題
[きもの文化検定3級]
「正倉院文書」に登場する、中国渡来のススキに似たイネ科の植物で染めた色は?
(1) 柑子色
(2) 木檗色
(3) 山吹色
(4) 刈安色
解答 (4)
[きもの文化検定3級]
刈安は何色を染める材料か?
(1) 黄色
(2) 青色
(3) 紫色
(4) 茶色
解答 (1)
[きもの文化検定3級]
草木染の染料「鬱金」と同系の色を染める染料は?
(1) 檜皮
(2) 黄檗
(3) 胡桃
(4) 車輪梅
解答 (2)
[きもの文化検定2級]
草木染で使用される植物の読み方は?
(1) 梔子
(2) 刈安
(3) 槐
(4) 鬱金
解答
(1)くちなし
(2)かりやす
(3)えんじゅ
(4)うこん
[きもの文化検定2級]
語群から適当な言葉を選べ
代表的な黄色の色名には奈良時代の( ア )に登場する「刈安色」がある。刈安は( イ )の植物で、太陽光線が( ウ )に刈り取ると黄色の色素を多く含んでいる。
(語群) 東寺文書・正倉院文書・東大寺文書
シダ科 ・イネ科 ・ススキ科
優しい春・強い真夏 ・弱い冬
解答
(ア)正倉院文書
(イ)イネ科
(ウ)強い真夏
おまけ ☆ ウコン ☆
ウコンは、ショウガ科ウコン属の多年草。
見た目は、ショウガですね~。
インドが原産で、紀元前からインドで栽培されています。
漢字で書くと「鬱金」
なんか憂鬱な色かと思いきや、原義は「鮮やかな黄色」だそうです。
日本でも古くから知られていて、邪馬台国では、女王卑弥呼も愛用し、中国の王にもこれを献上したといわれています。
さらに江戸時代になると、八代将軍吉宗が、朝鮮人参と共にうこんの栽培に挑戦し、その結果成功し一般の人にもその名が知れ渡ったようです。
江戸の後期になると、健康美容に良い植物として人気を集め、そのころ出版された図鑑などにも紹介されていたようです。江戸時代きってのユニークな人物だった平賀源内が書いた『物類品しつ』という本にも紹介されていたといいます。
いつの時代も「美容と健康」は大事なんですね☆